ブライトスタッフ通信vol.233

つい先日まで、半袖短パンで窓を開けて寝ていたかと思ったら、ここ数日はファンヒーターを点けるくらいに寒くなりましたね。体調など崩されていませんか?

今回は、自己肯定感を高める子育て、自分育てについてお話ししたいと思います。この通信でも何度か自己肯定感についてお話ししていますが、間違った方法で自己肯定感を高めようとすると逆に自己肯定感を下げてしまうので注意が必要です。

自己肯定感の高い人と聞くと、どんな人を思い浮かべますか?大谷翔平選手のように野球で成功して幾つもタイトルを取って、何十億円も稼いでいる人とか、高学歴で官僚になったり一流企業に勤めている人とか、バリバリ活動的で幾つもの趣味をこなしているおばあちゃんなどをイメージする人もいると思います。心理カウンセラーでベストセラー作家の野口嘉則さんは、自分の行動(Doingドゥーイング)やそれによって得られた結果や名誉(Havingハビング)では自己肯定感は高まらないと言っています。それらは自信にはなるけれど、自信を積み重ねても自己肯定感は高くならないということです。本当の自己肯定感とは、失敗した自分、情けない自分、傷ついた自分、みじめな自分を受け入れそのままの自分でいいのだと肯定するということです。

自己肯定感の低い人は、幼少期に自分の感情を受け止めてもらえなかった経験があるのかもしれないといわれています。どういうことかというと、たとえば転んで膝を擦りむいたときに、自分は「痛い」と感じているのに、母親に「大丈夫、このくらいの傷はすぐに治るから、イタイのイタイの飛んでけー」といわれると「自分の“痛い”という感情を受け止めてもらえなかった」という感情の見捨てられ体験が記憶に残ります。反対に「痛かったねー、どれどれ痛いところを見せてごらん」と言われると、感情を受け止めてもらえた安心感が記憶に残るのです。この辛い思いをしたときや苦しい思いをしたときに、その感情を否定せずに受け止めてもらう体験をしていると、その時の「親のような役割を果たすもう一人の自分」が自分の中に育って、自分が辛い思いをしたときに「辛いよね、泣いてもいいんだよ」と自分を慰めたり、何か落ち込むようなことがあったときに「悲しいよね、わかるよ」と自分に寄り添うことができます。

このように自分を慰めたり、自分に寄り添うことができる人が「自己肯定感の高い人」といわれる人です。自分の中に自分に寄り添ったり、自分を受け止めることができる「自分を見つめるもう一人の自分」がどうやら自己肯定感のカギになるようです。幼少期にしっかりと自分の感情を受け止めてもらえた人は、自分の中に寛容に見てくれるもうひとりの自分が育つし、干渉されすぎたり感情を受け止めてもらえなかった人は、自分の中に自分を見つめる厳しい自分が育ってしまうということです。

自分を見つめる自分が「厳しい人」だと、何をやっても「まだまだだ」と自分にムチ打ったり、「これくらいでくじけちゃダメだ」と叱咤激励します。叱咤激励は良いことなんじゃないかと思う人がいるかもしれませんが、人は安全で安心できる心の安全基地があって初めて何かに挑戦したり、自分を鼓舞することが出来るのです。安心感のない叱咤激励を受けても辛いだけです。

自分の中にいるもう一人の自分がどの程度厳しいのか、あるいは寛容的なのかを判断する方法があります。それは自分が他人に対してどの程度厳しいのか、寛容的なのかを見ればある程度分かります。他人の間違いや失敗に対して腹が立ったり、抗議する心が強い人は自分に対しても無意識的に批判している可能性があります。逆にレストランの店員が貴方に対して不機嫌な態度をとったとしても「何か嫌なことがあったのかな」と寛容的に見ることが出来る人は、自分に対しても寛容な気持ちで見守っているのでしょう。

では、どうしたら寛容なもう一人の自分を育て、自己肯定感を高められるのかは次回にお話ししたいと思います。